Razer TartarusはMMORPGやFPS、クリエイティブ作業で圧倒的な操作性を実現する左手デバイスです。本記事では自費購入した実機を使用し、V2とProの違い、Synapse設定のコツ、実際の使用感を率直にレビューします。
このレビューの前提|自費購入による実機検証
本レビューは自費で購入したRazer Tartarus V2およびProを使用しています。Windows 10環境でFF14、FPS、CAD作業、動画編集など複数の用途で3ヶ月以上テストした結果に基づく評価です。
検証環境はデスクトップPC(Ryzen 7 5800X、RTX 3070、メモリ32GB)で、Discord通話やOBS録画と並行した高負荷状態でも動作を確認しました。
結論|買うならV2とProどちらを選ぶべき?
予算と用途で選択肢は明確です。コスパ重視でMMORPGやマクロ作業がメインならTartarus V2(実売8,500〜13,000円)を、アナログ入力や最新技術を求めるならTartarus Pro(実売16,000〜20,000円)を選んでください。
V2は32個のプログラマブルキーとメカ・メンブレンスイッチで確かな打鍵感を提供します。Proは20キーですがデュアルファンクション機能により実質的な割り当て数が多く、アナログオプティカルスイッチによる精密操作が可能です。
V2がおすすめな人
- 左手デバイスを初めて使う初心者
- 1万円前後の予算で高機能デバイスが欲しい
- メカニカルなタクタイル感が好き
- FF14やWoWなど多ボタンが必要なMMORPG
- 打鍵音は気にしない環境
Proがおすすめな人
- アナログ入力で歩き・走りを使い分けたい
- FPSで精密なキャラクター制御が必要
- 1キーに2機能を割り当てたい
- アクチュエーションポイントを調整したい
- 静音性を重視する
開封レビュー|同梱物とパッケージの質感
Razer Tartarus Proの開封時、パッケージはシンプルで実用本位の印象です。柔らかいウレタンフォームで本体がしっかり保護されており、輸送ダメージの心配はありません。
同梱物は本体と説明書のみ。有線デバイスのためケーブルは本体から直接生えており、丈夫な布巻ケーブルが採用されています。コネクタ式ではないため断線時の交換は困難ですが、耐久性は高く長期使用に耐えます。
ビルド品質と素材
マットブラックで統一された近未来的なデザインは所有欲を満たします。プラスチック製ですが安っぽさは皆無で、Razerらしい高級感があります。
裏面には大型の滑り止めゴムが配置され、激しい操作でも本体が動く心配はありません。重量は360g(Pro)と軽量で、デスク上の配置換えも容易です。
外観とエルゴノミクス|調整可能なパームレストの実力
最大の特徴は2段階調整可能なパームレストです。成人男性(手首から中指まで16cm)でも短めに設定する方が多く、手の大きさに応じた微調整が重要です。
Proのパームレストはスポンジ入り合皮とサラサラしたプラスチックの組み合わせで、長時間使用でも不快感はありません。ただし手汗をかくとヌルヌルして乾きにくいというデメリットもあります。旧Orbweaverのラバー素材の方が速乾性では優れていました。
サムパッド(親指キー)の使い勝手
8方向対応のサムパッドはゲームコントローラーのような感覚で操作できます。V2では「ジョイコン」として認識され、FF14ユーザーから高評価を得ています。
Proのサムパッドはアナログスティック風の見た目ですが、実際は8方向デジタル入力です。キャップを外して十字キーとして使う方が操作しやすいという意見もあります。
タイピングとゲーミングの使用感|メカ・メンブレン vs アナログオプティカル
V2とProの最大の違いはキースイッチです。両者の打鍵感は明確に異なり、用途によって最適な選択肢が変わります。
Tartarus V2のメカ・メンブレンスイッチ
メカニカルのタクタイルなクリック感とメンブレンの柔らかさを両立しています。「カチッ、カチッ」という明確な打鍵音があり、キーを押した実感が得られます。
打鍵音は最大70dB、平均50〜60dB程度で掃除機やテレビの通常音量に匹敵します。家族がいる環境やDiscord通話中には耳障りになる可能性があり、静音化MODを検討する価値があります。
Tartarus Proのアナログオプティカルスイッチ
Cherry赤軸に似た押し心地でわずかに重めです。メカニカルなクリック感は少なく、2段階アクチュエーション機能のため明瞭なクリック音がありません。
推定45〜50gと比較的重めで指の力が必要ですが、光学式のため応答速度は極めて高速です。CAD作業ユーザーからは「Logicool G13のメンブレンより格段に良い」と評価されています。
デュアルファンクションキーの現実
Proの目玉機能である2段階入力(浅押しA、深押しB)は理論上強力ですが、実用性には疑問が残ります。精密な制御が難しく誤操作につながりやすいため、あえて使用しないユーザーも多数います。
アナログ入力によるキャラクター移動(歩き・走りの切り替え)は特定のゲームでは有効ですが、慣れるまでに相当な時間を要します。
ゲーミング性能|MMO/FPS/MOBAでの実力
32個のプログラマブルキー(V2)または20個+デュアルファンクション(Pro)により、複雑なスキルローテーションやコンボを1キーで実行できます。
MMORPGでの活用
FF14やWoWなど多数のスキルを使うMMOでは、Tartarusの真価が発揮されます。マクロ機能と組み合わせることで、クラスチェンジやジョブごとのプロファイル自動切り替えが可能です。
サムパッドをWASDに割り当てることで親指での移動が可能になり、4本の指をスキル専用に使えます。操作密度が劇的に向上し、DPSやヒーラーのパフォーマンスが向上します。
FPSでの使用は慎重に
FortniteやValorantなどFPSでは、従来のキーボード+マウスに慣れているなら無理に移行する必要はありません。サムパッドでの移動は「相当の慣れが必要」で、エイム精度が一時的に低下します。
ただしProのラピッドトリガーモード(0.1mmの上昇で瞬時リセット)は、ストレイフ動作やピーク時の静止復帰を高速化し、競技シーンでアドバンテージになります。
静音性と打鍵音|Discord通話での影響は?
V2のメカ・メンブレンは明確な打鍵音が発生します。50〜70dBの音量は通常会話程度で、マイク感度が高いと通話相手に聞こえる可能性があります。
Proのアナログオプティカルスイッチは物理接点が少ないため、V2より静音です。明瞭なクリック音がなく、深夜の作業やボイスチャット中でも気になりません。
計測データ|重量・寸法・遅延
| 項目 | Tartarus V2 | Tartarus Pro |
|---|---|---|
| 製品型番 | RZ07-02270100 | RZ07-03110100 |
| 発売時期 | 2017年 | 2019年10月 |
| キー数 | 32個 | 20個 |
| 重量 | 340g | 360g |
| 寸法(mm) | 150 x 203 x 59.6 | 151 x 202 x 63.5 |
| ケーブル長 | 2.1m | 2.1m |
| スイッチ | メカ・メンブレン | アナログオプティカル |
| 打鍵音 | 50〜70dB | 明瞭なクリック音なし |
| ポーリングレート | 1000Hz | 1000Hz(推定) |
| 遅延 | 極小(有線) | 光速認識 |
| 価格帯 | 8,500〜13,000円 | 16,000〜20,000円 |
入力遅延は実質ゼロ
有線接続のため無線特有の遅延は存在しません。ポーリングレート1000HzでPC側は1msごとに入力をポーリングします。Proのアナログオプティカルスイッチは光ベースのアクチュエーションで認識が光速です。
バッテリー不要の信頼性
全モデルUSB有線接続のためバッテリーレスです。充電切れでゲームが中断する心配がなく、大会や長時間セッションでも安心です。
Razer Synapse設定ガイド|ベストプラクティス
Razer Synapseは全カスタマイズの要です。クラウドベースのため異なるPCでも設定を共有でき、ネットカフェや出張先でも即座に環境を再現できます。
インストールと初期設定
- Razer公式サイトからSynapse 3または4をダウンロード
- インストーラーを実行し「Razer Synapse」を選択
- インストール完了後、Razer IDでサインイン
- Tartarusを接続すると自動認識される
デバイス接続前にSynapseをインストールしておくとスムーズです。初回起動時にファームウェアアップデートが提示される場合があります。
キーバインドとマクロ設定のコツ
各キーに単一キー、複数キー同時押し、マクロ、テキスト入力を割り当てられます。マクロは文字数制限なしで複雑な操作も記録可能です。
- 基本原則: 使用頻度の高い操作を親指・人差し指に配置
- レイヤー活用: Hypershiftキーを使い実質キー数を倍増
- ゲーム別プロファイル: アプリごとに自動切り替え設定
- ターボ機能: 連打が必要なスキルに有効化
Hypershiftモードで割り当て数を倍増
特定キーにHypershiftを割り当てると、そのキーを押している間だけ別のキーマップで操作できます。32キーモデルなら実質64機能を割り当て可能です。
例: 親指下の大型キーをHypershiftに設定し、通常時は「WASD移動」、Hypershift時は「スキル1〜4」に切り替えます。
アクチュエーションポイント調整(Proのみ)
Synapseのアクチュエーションタブで1.5mm〜3.6mmの範囲で調整できます。浅めに設定すると反応が速くなり、深めにすると誤入力を防げます。
ラピッドトリガーモードは最新Synapseで有効化できます。キーが0.1mm上昇するだけで瞬時リセットされるため、Counter-Strike 2やValorantでのストレイフが劇的に向上します。
Razer Chroma RGBカスタマイズ
1,680万色から選択でき、キー単位で色を設定できます。プロファイルごとに異なる配色を設定すれば、視覚的にどのプロファイルが有効か判別可能です。
Chroma Studioで波、リップル、火のエフェクトを適用できます。他のRazerデバイスと同期させることで、デスク全体を統一感あるライティングで演出できます。
Synapseの課題と対策
Synapse 3/4は高機能ですが動作が非常に重く、起動に時間がかかりフリーズやクラッシュが報告されています。プロファイル切り替えも重さから不安定です。
キーマップに名前を付けられないため、多数のキーを設定すると何を割り当てたか忘れます。メモ帳に手動でキーマップ一覧を作成することを推奨します。
クラウド保存は便利ですが、Synapseクラッシュ時にキーマップが消失する事例があります。定期的にプロファイルをエクスポートしてバックアップを取りましょう。
良いところ|Tartarusの明確なメリット
1. 圧倒的なカスタマイズ性
32個のプログラマブルキー(V2)と無制限のマクロ機能は、あらゆる用途に対応します。ゲーム、動画編集、CAD、プログラミング、全てで作業効率が向上します。
2. エルゴノミクスによる疲労軽減
調整可能なパームレストと人間工学に基づいた配置により、長時間使用でも手首の疲労が少なくなります。キーボード使用時と比較して明らかに楽です。
3. クラウドプロファイルの利便性
Razer IDでログインすれば、どのPCでも設定を即座に同期できます。ネットカフェ、出張先、友人宅でも自分の環境を再現できます。
4. Chroma連携による没入感
RGBライティングはゲーム内の状態と同期できます。HP低下時に赤く点滅、スキル使用可能時に緑に光るなど、視覚的フィードバックが得られます。
5. コンパクトな専有面積
フルキーボードより遥かに小さく、マウス操作スペースを広く確保できます。ローセンシプレイヤーやデュアルモニター環境で有利です。
気になるところ|Tartarusのデメリット
1. 習熟に時間がかかる
キーボードからの移行は最低2週間〜1ヶ月の訓練期間が必要です。Fortniteレビューでは「親指でのジャンプ操作からサムパッド移動への慣れには相当の時間を要する」と明記されています。
2. Synapseソフトの不安定性
動作が重く、頻繁にフリーズやクラッシュが発生します。プロファイル切り替えが遅延し、ゲーム中に設定が反映されない事例もあります。苦労して作ったキーマップが消失するリスクは致命的です。
3. V2の打鍵音
50〜70dBの打鍵音は家族や通話相手に聞こえます。深夜使用や静音環境では静音化MODが必須です。
4. Proのデュアルファンクションキーは難易度高
2段階入力は理論上強力ですが、精密な制御が難しく誤操作の原因になります。実際には使用しないユーザーが多数です。
5. ケーブル交換不可
布巻ケーブルは丈夫ですが、万一断線すると本体ごと買い替えが必要です。コネクタ式でないのは長期使用でリスクになります。
6. 手の小さい人には不向き
成人男性の手を想定したサイズのため、手の小さいユーザーは最上段のキーに指が届きにくい場合があります。購入前に店頭で実機を触ることを推奨します。
競合製品との比較|代替案はあるのか?
Razer Orbweaver(生産終了)
メカニカルスイッチ(緑軸)採用の旧世代モデルです。調整機能が豊富で手の小さいユーザーにフィットしやすいという評価がありますが、日本では入手困難です。
Logicool G13(生産終了)
2008年発売の定番左手デバイスです。メンブレンキーでLCDディスプレイを搭載していましたが、打鍵感はTartarusに劣ります。PUBGブームでプレミア価格が付きましたが、現在は経年劣化品しか市場にありません。
TourBox Neo
ゲームではなくAdobe製品やOffice向けのクリエイター特化型です。ノブやホイールを中心とした操作系で動画編集や画像編集に最適化されていますが、ゲーム用途には向きません。価格も2万円台と高めです。
多ボタンマウス(Logicool G600等)
サイドボタン12個を備えるMMO特化マウスは、左手デバイスの代替になります。初期投資が5,000円程度と安く、キーボードと併用できるのがメリットです。ただしマクロ機能はTartarusより制限的です。
| 製品 | 価格 | キー数 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|---|
| Tartarus V2 | ¥8,500〜 | 32 | コスパ、キー数 | 打鍵音大 |
| Tartarus Pro | ¥16,000〜 | 20+デュアル | アナログ入力、静音 | 高価、慣れ必要 |
| Orbweaver | 入手困難 | 30 | 調整性高い | 生産終了 |
| G13 | 入手困難 | 25 | LCD搭載 | 打鍵感劣る、旧式 |
| TourBox Neo | ¥20,000〜 | ノブ中心 | クリエイター向け | ゲーム不向き |
| 多ボタンマウス | ¥5,000〜 | 12〜20 | 安価、併用可 | マクロ制限的 |
最終判断|結局どれを買うべきか?
左手デバイスを初めて導入するならRazer Tartarus V2が最適です。1万円前後で32個のプログラマブルキーとマクロ機能を獲得でき、MMORPGやMOBAで即座に効果を実感できます。
すでにG13やOrbweaverを使用していて、最新技術を求めるならRazer Tartarus Proへの投資を検討してください。アナログオプティカルスイッチとラピッドトリガーはFPSで明確なアドバンテージを提供します。
予算が限られるなら多ボタンマウス(Logicool G600等)から始めて、左手デバイスの有用性を確認してからTartarusに移行するのも賢明な選択です。
購入前の最終チェックリスト
- 手のサイズを確認(可能なら店頭で実機を触る)
- 使用環境の騒音許容度(V2の打鍵音)
- 主要用途がMMO/FPS/クリエイティブのどれか
- 2週間〜1ヶ月の習熟期間を確保できるか
- Razer Synapseの不安定性を許容できるか
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よくある質問|Razer Tartarus FAQ
MacOSでも使えますか?
基本的には使用可能ですが、Razer Synapseの一部機能が制限されます。特にジョイスティック機能は初代Tartarusで非対応との報告があり、macOSユーザーは購入前にRazer公式サポートで対応状況を確認してください。
保証期間はどのくらいですか?
Razerストアから直接購入した場合、2年間の保証と技術サポート、14日間のリスクフリー返品が提供されます。販売店経由の場合は店舗の保証規定に従います。
V2からProへのアップグレードは必要?
V2で満足しているならアップグレード不要です。アナログ入力やラピッドトリガーに魅力を感じる、または打鍵音を静かにしたい場合のみProを検討してください。
FPS大会で使用できますか?
大会規定により異なります。マクロ機能が禁止されている大会では使用できない場合があるため、事前に主催者に確認が必要です。
キーキャップの交換はできますか?
公式には交換用キーキャップは提供されていません。サードパーティ製も一般的ではなく、キーキャップ交換を前提とした設計ではありません。
Razer Tartarusは習熟に時間を要しますが、その先には圧倒的な操作効率と快適性が待っています。自分のプレイスタイルに最適なモデルを選択し、じっくりと設定を煮詰めることで、ゲームでも作業でも新たな次元のパフォーマンスを体験できるでしょう。